ATOK の日本語テスト

公開 : 2006/01/15 © 平頭通

はじめに

ATOKのサイトで「日本語テスト」なるものを遣つてゐるので、私もテストしてみました。豫想に違はず、仮名遣の問題も出てゐますが、敷居が高いのか正字の問題は出されてはゐないやうです。採点して貰つた結果、私の場合は、30問中24問正解の「78点」になつたのですが、まあ、平均以上であれば良しとしたいと思ひます。

当方の解説

以下、仮名遣に関する部分だけ言及しておきます。以下はネタバレになりますので、テストを行ふ前に読まれる事はお勧め致しません。

問10

「近付く」を現代かなづかいで書きました。正しいのはどっちでしょう。

解説では「この場合はことばのでき方にしたがい、「付く(つく)」のかなづかいに合わせて、「づく」と書くのが現代かなづかいの決まりです」と説明されてゐます。併し乍、「現代かなづかい」で書いた場合の解答を求められてゐるのですから、正確な解答を法令に求めねばなりません。現行法令で効力を発揮してゐるのは昭和21年の内閣告示の「現代かなづかい」ではなく、昭和61年の内閣告示の「現代仮名遣い」である点は、豫め注意しておきます。設問の「現代かなづかい」が、現行の「現代仮名遣い」であると看做した上で上記の設問に對する正確な解説は以下の通りとなります。

別に「付く」の仮名遣云々などと餘計な説明は要りません。「現代仮名遣い」の規定を述べれば十分です。若し其のやうな説明が必要だとすれば、其れは歴史的仮名遣の場合の解答を述べる時でせう。其れであれば、正しい解説であると判断します。

問11

「地震」を現代かなづかいで書きました。正しいのはどっちでしょう。

之も法令問題ですね。解説では「「地」には、「ち」と「じ」の二つの音(おん)があって、「じ」と濁っていう場合は、「ぢ」ではなく、「じ」のほうを使って、「じ」と書く」と云ふ説明がなされてゐます。では、「湯飲み茶碗」の「ヂャ」や「世界中」の「ヂュウ」や「沈香」の「ヂン」は、皆「じ」でせうか。今一つ判然としません。でもまあ、之は「常用漢字表」に対する疑問であつて、当座此の設問に対する疑問ではありません。又、「現代かなづかい」を書くと云ふ設問に対して、「常用漢字表」を論拠に解説してゐるのも誠実さに缺けてゐると言へます。此の設問も法令から正解が導かれます。正確な解説を「現代仮名遣い」に基づいて書き直します。

字音仮名遣の場合は、「地」の漢音は「チ」、呉音は漢音との関聯から「ヂ」とするのが定説です。

問12

「二百十日」を現代かなづかいで書きました。正しいのはどっちでしょう。

はい、之も法令問題ですね。解説では、「「十」は、歴史的かなづかいでは「とを」と書きますが、現代かなづかいでは、「を」は、助詞の「を」を除き、すべて「お」と書く決まりになっています。そこで、「とお」と書くことになるのです」と書いて歴史的仮名遣との関聯性を強調してしまひ、其の結果図らずも「現代仮名遣い」の盲点を浮彫りにした形になつてしまつてゐます。之も法令に基づいて正確な解説に書き直してみませう。

歴史的仮名遣の場合は、『古事記』の歌謡に既に「とを」の用例が現れてゐますので、之を採用します。

問13

次の太字の語は「送り仮名の付け方」に従って送ったものです。正しいものを1つ選んでください。

何でも「己」が正しいんださうです。其の他は「認められていません」の一言で片附けられてしまひました。あらまあ、と云ふ感じですね。送り仮名も当然ですが、法令問題の一つです。法令ならば、其の根拠も法令で示して下さい。「送り仮名の付け方」は、昭和48年に内閣告示として制定されました。此の告示には「本則」「例外」「許容」が夫々規定されてあります。其れでは一つ一つ検討して参りませう。

「必らず」
通則5の本則の規定により「必ず」
「幼な子」
通則1の本則及び、通則6の本則の規定により「幼子」
「恥かしい」
通則2の本則の規定により「恥ずかしい」
「己」
通則3の本則の規定により「己」
「折り折り」
通則4の例外及び、通則6の本則の規定により「折々」

従つて、此の場合の正解は「己」になります。

正字正かな派の立場としては、餘計な送り仮名は送らないやうにするのが吉です。「恥づかしい」と書くなんて恥しいですね。

問14

次の文で、外来語の表記がより適切なのはどちらでしょう。

設問が「外来語の表記」についてですから、之は法令問題です。平成3年に内閣告示として「外来語の表記」が制定されてゐます。解説では元となる外国語の表記を基準にして書分けるやうに説明されてゐます。併し乍、手元の『岩波 国語辞典』には、球技の「ボウリング」も穴掘りの「ボーリング」と同じ項目で説明されてゐます。茲でも法令に基づいて正確な解説に書直してみませう。

カタカナ表記は、まだ仮名遣が安定してはゐません。ですので、どのやうに書くかは個々人に任せられると思ひます。羅馬を首都とする国の名を「イタリア」としようが「イタリヤ」としようが「イタリー」としようが、語意の特定に寄与できれば宜しいと思ふのです。

纏め

上記に示した問10から問14は全て法令に基づいた設問です。解説も法令に基づいて行はれるのが筋と云ふのが私の論です。賢明な皆様は此のやうな事に苦悩するよりも、言葉の誤用などのはうに注意を払はれるやうにして下さい。

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