申發圖二三號

別紙假名遣ノ件ニ關シ其ノ會ノ意見ヲ問フ

明治四十一年五月二十八日
文部大臣 男爵 牧野伸顯

假名遣ノ件

緒言

  1. 本案ノ假名遣ハ文部省ニ於ケル教科書檢定及ヒ編纂ノ場合ニ之ヲ許容スルモノトス
  2. 本案ノ實行ト同時ニ明治三十三年文部省令第十四號小學校令施行規則第二號表ヲ廢ス

第一章 字音假名遣ニ關スル事項

舊假名遣新假名遣
くゑ
ぐゑ
あうあふおうわうおう
をう
かうかふこうこふこう
くわう
がうがふごうごふごう
ぐわう
さうさふそうそう
ざうざふぞうぞう
たうたふとうとう
だうだふどうどう
舊假名遣新假名遣
なうなふのうのう
はうはふほうほふほう
ばうばふぼうぼふぼう
ぱうぱふぽうぽふぽう
まうもうもう
ゆういういふゆう
やうようえうえふよう
らうらふろうろう
きやうきようけうけふきよう
ぎやうぎようげうげふぎよう
しやうしようせうせふしよう
じやうじようぜうじよう
ちやうちようてうてふちよう
ぢやうぢようでうでふぢよう
にやうにようねうねふによう
舊假名遣新假名遣
ひやうひようへうひよう
びやうびようべうびよう
ぴやうぴようぺうぴよう
みやうめうみよう
りやうりようれうれふりよう
きうきゆうきふきう
ぎうぎふぎう
しうしゆうしふしう
じうじゆうじふじう
ちうちゆうちふちう
ぢうぢゆうぢふぢう
にうにゆうにふにう
りうりゆうりふりう
あむあん(*註)あん
*註
其他語尾ノ撥音ニむんヲ區別スルモノ皆之ニ準ス

第二章 國語假名遣ニ關スル事項

一。

ゐ、ゑ、をノ假名ニハい、え、おノ假名ヲ用フ但シ動詞ノノ活用ヨリ起ルゐ、ゑ、及ヒ弖爾遠波ノをヲ除ク又ゑふ(醉)ノゑニハよヲ用フ

[ゐ]のしし(猪)
[ゑ](聲)
[を]け(桶)
但書ノ例
ひきる(率)
(植)

二。

わ、い、う、え、おト發音スルは、ひ、ふ、へ、ほノ假名ニハわ、い、う、え、おノ假名ヲ用ヒおト發音スルふノ假名ニハおノ假名ヲ用フ但シ左ノ場合ヲ除ク

  1. 弖爾遠波ノは及ヒ弖爾遠波ノ關係竝ニ動詞ノ活用ヨリ起ルは
  2. 動詞ノ活用ヨリ起ルひ
  3. 動詞ノ活用ヨリ起ルふ
  4. 弖爾遠波ノへ、さへ、及ヒ弖爾遠波ノ關係竝ニ動詞ノ活用ヨリ起ルへ
  5. 副詞なほノほ
[は](岩)
うぐ[ひ]す(鶯)
あや[ふ]し(危)
[へ](家)
[ほ](顏)
[ふ]す(倒)
但書ノ例
もしく(若)
あら(洗)
あら(洗)
あら(洗)
あまつさ(剩)
あら(洗)

三。

阿列ノ假名ニふ、うガ附キ又ハ於列ノ假名ニほガ附キテ於列ノ長音ニ發音スルモノハ於列ノ假名ニうヲ附ス但シ左ノ場合ヲ除ク

  1. 動詞ノ活用ヨリ起リ阿列於列ノ假名ニふノ附ク場合
  2. 動詞形容詞ノ語尾ノ音便ニ依リ阿列ノ假名ニうノ附ク場合
  3. 動詞ヲ口語ニテ未來ニ用フルニ依リ阿列ノ假名ニうノ附ク場合
おう[あふ]ぎ(扇)
こう[かう]がい(笄)
おう[おほ]かみ(狼)
但書ノ例
たふ(與)
とふ(問)
かうて(買)
かう(赤)
いのらう(將祈)

四。

字音ヲ假リテ國音ヲ表記シタルモノノ變化セシモノ及ヒ素ト字音ニシテ國音ノ例ニ依リテ變化セシモノハ前諸項ノ例ニ依ル

[は](阿波)
まきいち[は](薪一把)

理由書

假名遣ノ法則中學習上困難ナルモノヲ簡約ニシテ國語教育ノ發達ヲ圖ルカ爲明治三十三年文部省令第十四號小學校令施行規則第二號表ヲ以テ其最モ複雜ナル字音假名遣ニ改定ヲ加ヘタリ例ヘハ均シク「コー」ト發音スル假名遣ニ「カウ」(校)、「カフ」(甲)、「コウ」(公)、「コフ」(劫)、等ノ別アリシモ之ヲ止メテ「コー」ニ一定シ又均シク「ホー」ト發音スル假名遣ニ「ハウ」(方)、「ハフ」「ホフ」(法)、「ホウ」(奉)ノ別アリシモ之ヲ止メテ「ホー」ニ一定シタルノ類ナリ然ルニ爾來教育ノ實驗ニ依レハ兒童ニ於テ字音ト國語トヲ區別スルコト困難ナルカ爲ニ知ラス識ラス字音ノ表記法ヲ國語ニ及ホシ例ヘハ「カウモリ」(蝙蝠)ノ「カウ」、「ハウムル」(葬)ノ「ハウ」ノ如キハ字音ニアラサルニ拘ラス之ヲ字音ノ「コー」「ホー」ト同視シテ「コーモリ」「ホームル」等ノ如ク表記スルノ混雜ヲ生シタリ加之國語假名遣ニ於テモ「カハ」(川)、「ウグヒス」(鶯)、「アヤフシ」(危)、「イヘ」(家)、「カホ」(顏)等ノ「ハ」「ヒ」「フ」「ヘ」「ホ」又ハ「アフギ」(扇)、「タウゲ」(峠)等ノ「アフ」「タウ」ノ如ク發音ニ一致セサル假名遣尠カラス之カ學習ノ困難字音假名遣ニ讓ラサルモノアリ依テ國語假名遣モ亦字音假名遣改定ト同一ノ趣旨ヲ以テ速ニ之ヲ整理スルノ必要ヲ認メ同時ニ曩ニ定メタル字音假名遣ニモ統一上更ニ多少ノ變更ヲ施スヲ可トシタリ

前記小學校令施行規則第二號表ノ字音假名遣ハ之カ實行ヲ小學教育上ニノミ限リ中等教育ニ於テハ依然舊來ノ假名遣ヲ強テ學習セシメタルモ假名遣ノ如キハ教育ノ階級ニ依リテ截然限界ヲ畫スヘキニアラス加之何レノ階級ノ教育ニ於テモ舊假名遣ヲ株守シ又ハ新假名遣ヲ強制スルコトナク新舊竝行セシメ自然ノ淘汰ニ一任スルヲ可トス依テ本案ノ假名遣ハ曩ニ定メタル文法上許容スヘキ事項ト均シク諸教科書ノ檢定又ハ編纂ノ場合ニ關シ廣ク之ヲ應用セントス

参考資料

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