ポイマンドレース (ヘルメス選集 I)
- CH I ―― ヘルメス・トリスメギストスなるポイマンドレース
内容區分
- 幻――ポイマンドレースの出現 (1~3)
- 啓示 (4~26)
- a. 宇宙の本性 (4~11)
- b. 人間の本性 (12~23)
- c. 救濟――魂の歸昇 (24~26)
- 宣教 (27~29)
- 頌榮 (30~32)
1
ある時私の中で、(眞に) 存在するものについての考察が始まり、考察の力が甚だしく高まり、食事に滿腹したり身體が疲れて眠りに引きずり込まれる人のやうに、身體の諸感覺が停止した時、そこに誰か途方もなく巨大な人が居合はせて、かう話しかけながら私の名を呼んでゐるやうに思はれた。
- 「お前は何を聞き、眺めたいのか。何を知解して學び、認識したいのか」。
2
私は言ふ、
彼が言ふ、
- 「私はポイマンドレース、絶對の叡智(ヌース) である。私はお前の思ひ計りを知り、何處にあつてもお前と共に居るのだ」。
3
私は言ふ、
- 「私は存在するものを學び、その本性(フュシス) を知解し、神を認識したいのです」、
また言つた、
- 「私はどんなに (それを) 聞きたいことでせう」。
彼が再び私に言ふ、
- 「お前が學びたいと思つてゐることをすべて自分の叡智(ヌース) に留めて置きなさい、私が教へてあげよう」。
4
かう言ふと、彼は姿を變じた。と、たちまちにはかにすべてが私の前に開けてゐた。私は測り知れぬ眺めを見る。そこに生じてゐるすべては光であり、(その光は) 美しく、喜ばしく、見てゐるうちに私は愛を抱いた。それから暫くすると、闇が垂れ下り、部分部分に分れ、恐ろしく、嫌惡を催すものとなり、曲りくねつて擴がり、私には「蛇」のやうに見えた。それから、闇は濕潤なフュシスのやうなものに變化した。それは名状し難いほどに混沌とし、火のやうに煙を發し、言ひ表はすことのできない、哀訴の叫び聲のやうなものを發してゐた。それから、何を言つてゐるのか分らないが、火の音のやうな叫びがフュシスから出てゐた。
5
さて、光から「……」聖なるロゴスがフュシスに乘つた。すると、純粹な火が濕潤なフュシスから出て上へと立ち昇つた。その火は敏捷で輕快であり、同時に活溌であつた。また、空氣(アエール) は輕かつたので靈氣 (すなはち火) に續いて行つた。すなはち、空氣が土と水を離れて火の所にまで昇り、あたかも火からぶら下つてゐるかのやうだつたのである。ところで、土と水は互ひに混り合ひ、「土は」水から見分けることができないほどであつた。それ (混り合つたもの) は、覆つてゐる靈的ロゴスに聞き從ひ、動いてゐた。
6
ポイマンドレースが私に言ふ、
- 「この眺めが一體何を意味してゐるのか知解したか」。
そこで私は言つた、
彼が言つた、
- 「あの光は、私であり、お前の神なるヌース(叡智) であり、闇から現れた濕潤なフュシスより以前にある者である。ヌースから出た、輝くロゴスは神の子である」。
私は言ふ、
- 「一體、どういふ事ですか」。
- 「かく認識しなさい。お前の内で見聞きしてゐるものは主からのロゴスである。他方、(お前の内に見てゐる) ヌースは父なる神である。と言ふのは、これらのものは互ひに分たれないからである。すなはち、命はこれらのものの結合である」。
私は言つた、
- 「あなたに感謝します」。
- 「では、確かに光を知解し、これを認識するやうに」。
7
彼は長い時間、かうしたことを語りながら私を凝視してゐた。それで、私は彼の相貌に震へ上つた。しかし、私はたぢろぎながらも自分の叡智(ヌース) の内に見た、――それは光が無數の力から成り、世界(コスモス) が無際限に擴がり、火が甚だ強い力によつて包まれ、力を受けつつ序列を保つてゐる樣である。私はポイマンドレースの言葉によつてこれらのものを見、思ひをめぐらせた。
8
さて、私が吃驚してゐた時、彼は再び私に言ふ、
- 「お前は (自分の) 叡智(ヌース) の内に (世界の) 原型を見たのだ。その原型は無限の始めよりも以前からあつたものである」。
このやうにポイマンドレースは私に語つたのである。
私は言ふ、
- 「それでは、フュシスの諸元素は何處から成立したのでせうか」。
これについて彼が再び語つた、
- 「神の意志(プーレー) からである。この意志(プーレー) がロゴスを受け、美なる世界(コスモス) (叡智的世界) を見て (これを) 摸倣し、自分の元素と生じたものすなはち靈魂によつて自ら (感覺的) 世界となつたのである。
9
- さて、神なるヌースは男女(をめ) であり、命にして光であるが、ロゴスによつて造物主(デーミウールゴス) なるもう一人のヌースを生み出した。彼は火と靈氣の神であつて、ある七人の支配者を造り出した。この者たちは感覺で把握される世界(コスモス) を圓周によつて包んでゐて、その支配は運命(ヘイマルメネー) と呼ばれてゐる。
10
- 神のロゴスはただちに下降する元素から飛び出して、フュシスの清い被造物の中に入り、造物主(デーミウールゴス) なるヌースと一つになつた――それ (ロゴス) は (造物主なるヌースと) 同質であつたからである。そこでフュシスの下降する元素は、ロゴス無きままに取り殘され、質料(ヒュレー) は孤立して存在した。
11
- さて、造物主(デーミウールゴス) なるヌースはロゴスと共にあつて、(世界の) 圓周を包み、(これを) シュルシュルと囘す者であつて、自分の被造物を囘轉させ、限りない始めから無限の終りの時まで囘轉するままにしておいた。それは、終る所で始まるからである。ところで、被造物の圓轉運動は、ヌースの意のままに、下降する元素からロゴス無き生き物をもたらした――それはロゴスを持つてゐないのである。すなはち、空は飛ぶものを、水は泳ぐものをもたらした。それから、土と水とは、ヌースの意のままに、互ひに分離し、「土」は自分の中から孕んでゐたもの、すなはち四足獸「と」這ふもの、野獸と家畜とを産出した。
12
- さて、萬物の父であり、命にして光なるヌースは自分に等しい人間(アントローポス) を生み出し、これを自分だけの子として愛した。と言ふのも、彼は父の像を持つてゐて甚だ美しかつたからである。すなはち、父も本當に自分の似姿を愛したので、自分の全被造物をこれに委ねたのである。
13
- そこで人間(アントローポス) は (天界の) 火の中に造物主(デーミウールゴス) の創造を觀察し、自らも造物したいと思つた。そして彼は (これを) 父から許可された。(世界の) 全權を得ようとして彼は造物の天球に至り、兄弟の被造物 (七人の支配者) を觀察した。すると、彼ら (七人) は彼を愛し、それぞれが自分の序列 (に屬するもの) を (彼に) 分け與へ始めた。彼らの本質を學び盡し、彼らの性質に與ると、彼は圓周の外輪を突き破り、火の上に坐する者の力を觀察したいと思つたのである。
14
- そして、死ぬべき、ロゴス無き生き物の世界に對する全權を持つ者 (人間(アントローポス)) は、天蓋を突き破り界面を通して覗き込み、下降するフュシスに神の美しい似姿を見せた。フュシスは、盡きせぬ美しさ「と」、支配者たちの全作用力と、神の似姿とを内に持つ者を見た時、愛をもつて微笑んだ。それは水の中に人間(アントローポス) の甚だ美しい似姿の映像を見、地上にその影を見たからである。他方彼は、フュシスの内に自分に似た姿が水に映つてゐるのを見てこれに愛着し、そこに住みたいと思つた。すると、思ひ(プーレー) と同時に作用力が働き、彼はロゴス無き姿に住みついてしまつたのである。するとフュシスは愛する者を捕へ、全身で抱きしめて、互に交はつた。彼らは愛慾に陷つたからである。
15
- この故に、人間はすべての地上の生き物と異り二重性を有してゐる。すなはち、身體のゆゑに死ぬべき者であり、本質的人間のゆゑに不死なる者である。不死であり、萬物の權威を有しながら、運命(ヘイマルメネー) に服して死ぬべきものを負つてゐる。かうして (世界) 組織の上に立つ者でありながらその中の奴隸と化してゐる。男女(をめ) なる父から出てゐるので男女(をめ) であり、眠ることのない父から出てゐるので眠りを要さぬ者であるのに、「愛慾と眠りによつて」支配されてゐるのだ」。
16
その後に (私は言つた) 、
- 「私のヌースよ、私自身もその話を訊きたいのですが」。
するとポイマンドレースが言つた、
- 「それはこの日に至るまで隱されて來た奧義である。フュシスは人間(アントローポス) と交はつて世にも驚くべき椿事を引き起したのである。と言ふのは、七名の者たち――この者たちが火と靈氣とから出たことは (すでに) おまへに話した通りである――の組織の性質を彼が持つてゐるので、フュシスは我慢ができず、直ぐに七人の人間を生み出したからである。この人々は、七人の支配者が持つ性質に應じて男女(をめ) であり、直立してゐた」。
その後に (私は言つた) 、
- 「ポイマンドレースよ、私はもう深い情熱に打たれ、(話の先を) 聞くことを熱望してゐます。主題をそらさないで下さい」。
しかし、ポイマンドレースは言つた、
- 「いや、沈默してゐなさい。私はまだ第一の點を語り明かしてゐないのだから」。
私は言つた、
17
- 「さて、今言つたやうに、これら七人 (の人間) の誕生があつたのであるが、それは次のやうにしてである。「土」は女性であり。水は男性であつた。(下降する) フュシスは火からの成熟と、天空(アイテール) からは氣息を受け取り、人間(アントローポス) の像にならつて身體を産出した。人間(アントローポス) は命と光から魂と叡智(ヌース) の中に移つた。すなはち、命から魂に、光から叡智(ヌース) の中に。そして、感覺的な世界にある萬物は周期の終りと諸種族の始まりの時までそのままの状態に留つてゐた。
18
- お前が聞くことを熱望してゐる話を更に聞くがよい。周期が滿ちると、萬物の絆が神の意志(プレー) によつて解かれた。すべての生き物と人間とは男女(をめ) であつたが分離され、一方は男性になり、他方は女性になつた。すると、直ちに神は聖なる言葉によつて言つた。『もろもろの造られしもの、また被造物よ、殖えに殖え、滿ち滿ちよ。また、叡智を持てる者、自己の不死なることを愛慾(エロース) が死の原因たることを、しかして一切の存在せるものを再認識すべし』。
19
- 神がかう言つた後、攝理(プロノイア) は運命(ヘイマルメネー) と組織 (の性質) とを通じて交接といふものを決まりとし、生誕といふものを定めた。すると、すべてのものが種族毎に滿ち擴がつた。そして、自己を認識した者は溢れるばかりの善に至つた。しかし、愛慾の迷ひから生じた身體を愛した者は、さ迷ひながら闇の内に留り、死をもたらすものを感覺によつて味はつてゐた」。
20
私は言つた、
- 「どうして無知な者らはこれほどまでに過ちを犯すのですか。不死性を失ふと言ふのに」。
- 「これ、お前は聞いたことに注意してゐないやうだ。知解するやうにと言つたではないか」。
- 「知解してゐます。覺えてゐます。また同時に感謝してゐます」。
- 「知解したのなら、私に言つてみなさい。死の内にある者らはなぜ死にふさはしいのか」。
- 「個々人の身體よりも前に、先づ嫌惡を催す闇があり、そこから濕潤なフュシスが出、そこから身體が感覺的な世界の内に成立し、それから死が流れ出てゐるのです」。
21
- 「よし、おまへは正しく知解した。それでは、神の言葉(ロゴス) が言ふやうに『自己を知解した者は彼 (神) に歸る』のはなぜか」。
私は言ふ、
- 「それは、一切の父が光と命とから成り、人間(アントローポス) は彼から生れたからです」。
- 「おまへの答は正しい。神にして父なる者は光であり命である。人間(アントローポス) は彼から生れた。そこで、神が光と命とからなることを學び、自らもこれらから成ることを學ぶなら、お前は再び命に歸るであらう」、
かうポイマンドレースは語つた。
私は言つた、
- 「でも、もつと私に語つて下さい。この私はどのやうにして命に歸るのでせうか、わがヌースよ。と申しますのは、神が、『叡智を持てる人間は、自己を再認識すべし』、と言はれるからです。
22
- すべての人間が叡智(ヌース) を持つてはゐないのですか」。
- 「これ、沈默しなさい。私、ヌースは自ら、聖き者、善なる者、清い者、憐む者、すなはち敬虔な者の傍らにある。私の臨在は助けとなる。彼らは直ちに一切を悟り、愛をもつて父を宥め、愛着をもつて父に向きを變へ、感謝し、頌榮と讚歌を唱へ、身體を死の定めに渡す前に諸感覺を憎惡するのである。なぜなら、彼らは感覺の働き (が何か) を知つてゐるからである。と言ふより、私、ヌース自らが身體の敵對的な働きの成就を許さないのである。私は門番として、惡い汚れた働きの入口を塞ぎ、さうした思ひの進入を妨げるのである。
23
- しかし、無理解な者、惡しき者、邪まな者、妬む者、貪慾な者、人殺し、不敬虔な者から私は遠く離れてをり、懲罰のダイモーンに事を委ねてゐる。この者が火の鋭さを増し加へ、感覺を通じて「その人を攻め」、一層不法へと驅り立てる。そのために、人はより大きな罰を受け、慾情を抱くままに限りない慾望から休まることがなく、飽くこともなく闇の戰ひを續ける。かうしてダイモーンは「この人を」苦しめ、この人の上にますます火を積み上げるのである」。
24
- 「ヌースよ、あなたは私の望み通り、十分に一切のことを教へて下さいました。そこで次に、來たるべき上への道「について」語つて下さい」。
これについてポイマンドレースは語つた、
- 「先づ、物質的な身體の分解において、お前は身體そのものを變化に引き渡し、お前の有する形姿は見えなくなる。そして (身體の) 性向(エートス) をダイモーンに引き渡して無作用にする。また身體の諸感覺は、部分部分に分れ、共々に上昇して再び作用力を得つつ、自分の源へと歸昇する。また、情熱と情慾とはロゴスなきフュシスの中に歸る。
25
- かうして人間は、界面を突き抜け、さらに上へと急ぎ、第一の層には増減の作用を、第二の層には惡のたくらみを、計略を、無作用のまま、第三の層には慾情の嘆きを、無作用のまま、第四の層には支配の顯示を、(もう) 願はしくないまま、第五の層には不遜な勇氣と敢へてする輕卒を、第六の層には富の惡しき衝動を、無作用のまま、第七の層には隱れ潛んだ虚僞を返す。
26
- すると、彼は組織の作用力から脱し、本來の力となつて第八の性質(フュシス) に至り、存在する者たちと共に父を讚美する。そこに居る者たちは彼の到來を喜ぶ。彼は共に居る者たちと同化され、また、第八の性質(フュシス) の上にゐる諸力が何か甘美な聲で神を讚美してゐるのを聞く。すると、彼らは秩序正しく父のもとに昇り、諸力に自らを引き渡し、諸力となつて、神の内になる。神化、これこそが認識(グノーシス) を有する人々のための善き終極である。そこで、お前は何をためらつてゐるのか。一切のことを傳へ受けた以上、人間(アントローポス) の種族がお前を通し神によつて救濟されるために、(それに) ふさはしい人々のための道案内となるべきではないのか」。
27
これらのことを告げると、わがポイマンドレースは諸力と一つになつた。私は自分のすべてなる父に感謝し、讚美した後、力を受け、萬有(ト・パン) の本性(フュシス) と最も偉大な眺めとを學び受けて、彼から遣はされた。そこで、彼は敬虔(エウセペイア) と認識(グノーシス) との美しさを人々に宣(の) べ始めたのである。
- 「民よ、土から生れた者どもよ、醉ひと眠りと神に對する無知に自己を開け渡してゐる者どもよ、目覺めるのだ。ロゴスなき眠りに魅せられた、酩酊の樣をやめるのだ」。
28
すると、聞いてゐた人々は心を一つにして集まつて來た。そこで私は言ふ、
- 「土から生れた者どもよ、どうして自己を死に開け渡すのだ。不死に與る權威を受けてゐながら。悔い改めるのだ。迷ひを道連れにして無知を仲間とする輩よ。闇の光から離れ、朽ちるものを棄て、不死に與るのだ」。
29
それから、彼らのある者はからかひながら去つて行き、死の道に身を開け渡したが、別の者は私の足下に身を伏せ、教へを請はうとしたのであつた。そこで私は彼らを起こし、(人間(アントローポス) の) 種族の道案内となり。どのやうにして如何なる樣で救濟されるかについて教へを語り、人々に智慧の言葉を蒔いたのである。人々は不死の水によつて養はれた。それから夕方になつて、太陽の輝きがすつかり沈み始めたので、私は人々に神に感謝するやう命じた。それで人々は感謝の勤めを果たし、それぞれ自分の家路に着いた。
30
私はポイマンドレースの慈しみを心に刻んだ。そして、望んでゐたものを滿たされて、歡喜にひたつた。なぜなら、身體の眠りが魂の目覺めとなり、肉眼を閉ぢることが眞の開眼となり、私の沈默が善を孕むものとなり、言葉を出すことが善行の實を結ぶこととなつたからである。これが私に起こつたことなのである。それは私が自分の叡智(ヌース) 、すなはちポイマンドレース、絶對のロゴスから受けたものである。私は神の眞理の靈に滿たされて (ここに) 至つたのだ。だから全靈、全力をもつて父なる神に頌榮を獻げる。――
31
- 「聖なるかな、わがすべてなる神にして父なる者。
- 聖なるかな、その意志(プーレー) が御自身の諸力によつて遂げられ給ふ神。
- 聖なるかな、御自分の者らに認識されることを望み、認識され給ふ神。
- 聖なるかな、み言葉によつて、存在するものを構成し給ひし汝。
- 聖なるかな、全自然がその似像として生れし汝。
- 聖なるかな、フュシスによつて形作られ給はざりし汝。
- 聖なるかな、あらゆる力よりも更に強き汝。
- 聖なるかな、あらゆる卓越よりも更に優れたる汝。
- 聖なるかな、數々の稱贊に勝り給ふ汝。
- あなたに向つて引き上げられた魂と心の (獻げる) 清い、言葉の犠牲を受け入れて下さい。表現し難き方、言ひ難き方、沈默によつて呼びかけられる方よ。
32
- 私は我々の (眞の) 本質に關する知識(グノーシス) から墮落することのないやうに祈り求めます。それを許し、私を強めて下さい。さうすれば、私は、(人間(アントローポス)) の種族の中の無知の状態にある者たち、私の兄弟たち、あなたの子らをこの惠みによつて照らすでせう。かうして私は信じ、證(あか) しします。私は命と光の中へ歸るのです。父よ、あなたは譽むべき方です。あなたの人間(アントローポス) はあなたの聖さに與りたいと願ふのです。あなたが彼にすべての權威を授けられたが故に」。
参考資料
- 底本
- 新井献+柴田有訳『ヘルメス文書』(1980年、朝日出版社(ISBN:4-225-80040-5))
- 参考
- 柴田有著『グノーシスと古代宇宙論』(1982年、勁草書房(ISBN:4-326-10053-2))
- Poemandres, the Shepard of Men (英譯)