標準漢字表 (發表)

昭和17年12月4日
文部省發表

標準漢字 二千六百六十九字 (朝日新聞)

義務教育習得に基準を指示

義務(む)教育において習(しふ)得せしめるべき漢(かん)字の標準(へうじゆん)を示すため文部省では國語審(しん)議會の答申を基礎(きそ)とし標準(へうじゆん)漢(かん)字表制定に關(くわん)し愼(しん)重研究(けんきう)を重ねて來たが成案(あん)を得たので、四日の閣(かく)議において諒(りやう)解を得てこれを正式に決定した、その総(そう)数は二千六百六十九字で、内容(よう)は別表の通りであるが、これは單(たん)に義務(む)教育において習(しふ)得せしめるべき漢(かん)字の標準(へうじゆん)を示したもので、漢(かん)字の使用を制限するものではない、また四日の閣(かく)議における申告事項(かう)として今後各官廳(ちやう)においては標準(へうじゆん)漢(かん)字表に照應(せうおう)して、今後の用字につき考慮(かうりよ)をなし、平易なる文字用語により政府の施策(しさく)に対する國民一般(はん)の理解を容易(ようい)ならしめんとしてゐるのは注目に値(あたひ)する

なほ字音假名遣ひ、漢字の横書き等に関しては文部當局において更に研究を重ねることになつてゐる

橋田文相談

今回文部省は義務(む)教育において習(しふ)得せしむべき漢(かん)字の標準(へうじゆん)を示さんがため標準(へうじゆん)漢(かん)字表を作製し、本日閣(かく)議においてその諒(りやう)解を得た、漢(かん)字が我が國民精(せい)神を作興(こう)し、國民文化を進展(てん)せしめるのに大きな力となつて居り、十分これを尊(そん)重しなければならないことはいふまでもない、依て今般(はん)標準(へうじゆん)漢(かん)字表を制定して、義務(む)教育において習(しふ)得せしむべき漢(かん)字の標準(へうじゆん)を定め、漢(かん)字特有機能(きのう)を十分に発揚(やう)せしめることを期(き)した次第である、從つて本表の制定は、漢(かん)字の使用を制限せんとするものでないことは勿論(もちろん)である

また本日の閣議の申合せで、各官廳においては本表に照應して今後の用字に考慮を用ふることとなつたが、その趣旨とするところは義務教育上漢字の標準を定めたる事に即應し、力めて平易なる文字用語によつて政府の施策に対する國民一般の理解を容易ならしめんとするにあるのである

標準漢字制定を終る (讀賣報知)

總數二千六百六十九字

無限(げん)に複雜(ふくざつ)化し氾濫する状(じやう)態にある漢(かん)字を整理(せいり)して平易に簡易(かんい)明瞭な標準(へうじゆん)を樹てようと文部(ぶ)省で企圖(きと)した標準(へうじゆん)漢(かん)字表(へう)の制(せい)定は、去る六月十七日國語(ご)審議會の答(たふ)申が發表(へう)されるや賛否(さんぴ)兩論(りやうろん)が重々として起つたが文部(ぶ)當局は飽(あく)まで愼重にこの答(たふ)申を土臺として檢討をかさね制(せい)定を急いでゐたが四日の閣(かく)議で諒(りやう)解事項として決定を見(み)た、從つて今後は國民學校、青年學校の教科書もこの表の範圍内で編纂され、官廳使用(よう)の公(こう)文書も全部(ぜんぶ)これにより漢(かん)字使用(よう)上の煩雜(ざつ)さから脱(だつ)して能率増進(ぞうしん)を圖(はか)り一般(はん)に率先して範(はん)を示(しめ)すことになつた、決定した標準(へうじゆん)漢(かん)字表(へう)を國語(ご)審議會の答(たふ)申と比較(かく)すると答(たふ)申では常用(じやうよう)漢(かん)字千百卅四字、準(じゆん)常用(じやうよう)漢(かん)字千三百廿字、特別(べつ)漢(かん)字七十四字計(けい)二千五百廿八字となつてをり同時に常用(じやうよう)は國民一般(はん)が誰でも讀(よ)み書き出來るもの、準(じゆん)常用(じやうよう)は書けなくとも讀(よ)めなくてはならないもの、特別(べつ)漢(かん)字は勅語(ちよくご)や詔書に用(もち)ひられる特別(べつ)のものなどゝ三段(だん)に分けられてあつたが、今日決定になつたものはこれらの一切の區別を廢して答申より百四十一字を増加略(りやく)字を含(ふく)めて二千六百六十九字とし、使用(よう)の標準(へうじゆん)も義務(む)教育(けういく)で習(しふ)得させるものとなつてゐることは注(ちゆう)目される、答(たふ)申よりも減(げん)じた漢(かん)字は叱、邑の二字で、増加(ぞうか)したものは塚、庵、串、鋤、濤、碧、蠻、嵐などのやうに一般(はん)に親(した)しまれてゐるものと、メートル法に使用(よう)される粁、糎、粍、瓩、竏などである

参考資料

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