ソースから SCIM を導入する
『厳重注意』
以下の記事では、Linuxのコマンドの中でもシステムに重大な損傷を与へか兼ねない危険なコマンドを多用します。当方の記載する記事は、Linuxにおける多種多様なシステムにおける極々一部のシステムでの動作状況を書き記したものにしか過ぎません。従つて、此の記事に基づいてシステムの改変を行ふ場合は、全て自己責任の下で操作する事に事前に諒承したものと見做します。
若し万が一、此の記事を参照してシステムの改変を行つた結果、何らかの不具合が発生した場合は、当方は一切其の責を負ふものではありません。
GNU Linuxを導入してゐる時点で、自己責任の状況が発生してゐるのですが、確認の意味を含め、今回改めて注意文を記しておきます。
基本ソフト(OS)の環境
以下の環境で、実際に試してゐます。
- Linuxのヴァージョン
- Vine Linux 3.2 , GNOME 2.4.1 , GNU Emacs 21.3.1
既知の不具合
不具合は、大方"GTK+"のヴァージョンの問題に起因するものと考へられますが、詳細は判りません。以下に不具合の一覧を記しておきます。
- "scim-anthy"
- 「辞書メニュー」で「霞」を選んだ場合、起動できない。
- "scim-skk"
- 「辞書の設定」で、skkserverの設定が有効にならない。
- "scim-input-pad"
- 「入力パッド」も、起動不能。
- "scim-tomoe"
- 「巴」も、起動不能。
- "uim-prf-gtk"
- 「uimの設定ツール」も、起動不能。
上記の不具合を解消するには、環境設定ファイルの"~/.bashrc"に下記の設定を追記してログインし直します。之を行ふと、逆に「GNOMEのテーマ」が巧く動作しなくなります。
- "~/.bashrc"に追記
- export LD_LIBRARY_PATH=/usr/local/lib
始めに
茲では、現在、様々な「IMエンジン」の開発が進められてゐる"SCIM"の最新版(2005/12/24現在)の導入を試みたいと思ひます。Vine Linuxで管理されてゐるパッケージを取扱ふ訣ではありませんので、全て「管理外」のディレクトリ("/usr/local")配下にインストールして行く事にします。インストール出来る「IMエンジン」の中で一番導入がし易いのは、"scim-anthy"です。が、其の前に、下準備をしておきたいと思ひます。
下準備
下準備は、以下のやうに行つておきます。"~/.bashrc"は、必要に応じてコメント(#)を附けたり外したりします。
- "/etc/ld.so.conf"に追記
- /usr/local/lib
- "~/.bashrc"に追記
- #export LD_LIBRARY_PATH=/usr/local/lib
- 設定が終つたら、下記のコマンドを実行する
- $ su
- # /sbin/ldconfig
- # exit
- 「管理内」に導入したパッケージのアンインストール
- $ rpm -q scim anthy scim-anthy
- $ su
- # rpm -e anthy-7100b-0vl2.1.i386.rpm
- # rpm -e scim-1.4.2-0vl0.i386.rpm
- # rpm -e scim-anthy-0.6.1-0vl0.i386.rpm
- # exit
- $ rpm -q scim anthy scim-anthy
scim-anthyの管理外への導入例 (2006/01/14 記載)
様々な「IMエンジン」の内、"scim-anthy"が最もインストールし易いので先づ之を導入します。最近のLinuxでは、此のペアがデフォルトでインストールされてゐるディストリビューションも在ります。茲では事前に関聯サイトからtar-ballをダウンロードしておきませう。
関聯サイト
インストールパッケージ
- scim-1.4.2.tar.gz
- anthy-7100b.tar.gz
- scim-anthy-0.8.0.tar.gz
インストール手順
- 先づ、基本となる"SCIM"を展開して、ディレクトリを移る。
- $ tar -xvzf scim-1.4.2.tar.gz
- $ cd scim-1.4.2
- makeファイルを作成する。
- $ ./configure
- 続いて普通にインストールを実施。
- $ make
- $ su
- # make install
- # exit
- $ cd
- 次に、"Anthy"のインストールを実施。
- $ tar -xvzf anthy-7100b.tar.gz
- $ cd anthy-7100b
- $ ./configure
- $ make
- $ su
- # make install
- # exit
- "Anthy"のテストプログラムを実行する。仮名漢字変換の結果が表示されれば、良好。
- $ cd test
- $ /anthy 1
- $ /anthy 2
- $ cd
- 次に、"SCIM"の「IMエンジン」、"scim-anthy"をインストールする。依存関係で、上記の二つのプログラムをインストールしてゐないとインストールできない。
- $ tar -xvzf scim-anthy-0.8.0.tar.gz
- $ cd scim-anthy-0.8.0
- $ ./configure
- $ make
- $ su
- # make install
- # exit
- $ cd
茲で一度再ログインします。
動作の確認
シェルかエディタを立上げて、"Ctrl+space"を押すと"SCIM"のパレットが表示されます。「王冠」のアイコンが目印です。
「コマンドメニューを表示」-「SCIMを設定」で、「SCIM入力メソッドの設定」を立上げ、「IMエンジン」の欄に"Anthy"が在れば、良好。各種設定が可能です。
「辞書ツール」には、「霞」(kasumi) と「栖」(Sumika)が在りますが、之については後程言及する豫定です。
以下、之を土臺に様々な「IMエンジン」の導入例を示して行きます。
関聯頁