国語国字用語集

公開 : 2005/10/04 ; 改訂 : 2006/08/30 © 平頭通

凡例

  1. 掲載する語は、主に漢字、仮名、仮名遣、文法、国語学者、言語学者、表音主義、文字コード等の関聯とする。
  2. 記事の追加や、リンクの追加は、適宜実施する。
  3. ( )内には振り仮名を本来の仮名遣で示す。
  4. 人名の振り仮名は、( )内で姓と名を半角スペースで分離する。
  5. [ ]内の数字は、生年と歿年を表す。

あ行

石塚竜麿(いしづか たつまろ)[1764 - 1823]
本居宣長の門下の国学者。『假字遣奧山路』で、上代特殊仮名遣の存在を初めて明かにした。
異体字(いたいじ)
正字以外の「俗字」「略字」「同字」「古字」「本字」「譌字」等を総称してかう呼ぶ。反対語は正字。
所謂康煕字典体(いはゆるかうきじてんたい)
『康煕字典』の見出し文字に採用された字体を模範にして定義された字体の総称。正字体とほぼ同義。
いろは歌(いろはうた)
四十七種類の仮名を一回づつ使用して歌ひ上げた詩を云ふ。大乗仏教の思想が詠み込まれてゐる。読まれた当初は四十七文字全てが異なる発音を示してゐたが、現在は混同してしまつた仮名も幾つか見られる。弘法大師(空海)の作と伝へられるが、ヤ行のえが書分けられてゐない為、成立の時代はもつと下ると考へられる。
越南漢字音(ヴェトナムかんじおん)
越南語で使用される漢字の字音のこと。阮愛国をグェン・アイ・クォック、河内をハノイと読むやうな字音を云ふが、日本語ではカタカナで表記される。
ヴの仮名(ヴのかな)
ワ行の濁音表記として使用される「ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ」のこと。英語の子音表記"v" や、独語の子音表記"w" や露西亜語の子音表記"в" が出て来る外来語をカタカナで写す場合に此の仮名が用ゐられる。併し乍ら、"r" と"l" の書分けはカタカナでも行はない。
エの拗音(エのえうおん)
日本語の音訓には存在しない拗音。外来語のカタカナ表記で書かれる事がある。「キェ・シェ・チェ・ニェ・ヒェ・ミェ・イェ・リェ・ウェ・ヴェ・ギェ・ジェ・ヂェ・ビェ・ピェ」等。因みに「イェ」や「ウェ」の発音は過去の日本に存在したとされる。
送り仮名(おくりがな)
漢字仮名交り文を表記する場合、動詞や形容詞の活用語尾から仮名を書記すこと。副詞などにも送り仮名が附く場合がある。「重なる」の場合は、「な」から送るが、「少い」「明か」等は、一文字分だけ送るのが良い。
昭和34年内閣告示第1号で始めて制定されて、昭和48年内閣告示第2号で改定された「送り仮名の付け方」。大蔵省印刷局が発行してゐる『常用漢字表・現代仮名遣い・外来語の表記(付 人名用漢字)』では何故か無視されてゐる。
大槻文彦(おほつき ふみひこ)[1847 - 1928]
国語辞書『言海』を著作した偉人。『言海』は、個性的な辞書で、広く一般に活用されてゐた。「語法指南」で、西洋語の文法を基礎に据ゑた日本語の文法論を収録してゐる。
大野晋(おほの すすむ)[1919 - ]
橋本進吉博士の弟子の国語学者。学習院大学名誉教授。係り結びの法則について詳しい研究論文を発表した。定家仮名遣では当時のアクセントの違ひで「お」と「を」の書分けが行はれてゐる事を論証した。『岩波古語辞典』を編纂した。『日本書紀』の註釈も行つた。還暦を過ぎた辺りから「日本語タミル語同祖論」を展開してゐる。主な著書は『日本語の形成』。

か行

カタカナ
五十音図に示される四十七文字と撥音表記の「ン」を云ふ。主に漢語以外の外来語の表記や、表音的な表記に使用される。漢文訓読の訓点から発展した。漢字では片仮名と書く。
仮名(かな)
国語表記に使用される表音文字を云ふ。ひらがなとカタカナの二種類が在る。仮名遣で書分ける必要のある代表的な文字を云ふ。カナモジ派は、日本語の表記をカナモジだけの表記に変へようとしてゐた。
仮名遣(かなづかひ)
同音の仮名を語に依つて遣ひ分ける事を云ふ。之とは違ひ、発音に従つて仮名を書く事を、仮名遣とは呼ばず表音的な表記と呼ぶ。「表音的假名遣は假名遣にあらず」を参照の事。
合字(がふじ)
リガチャの訳語。カタカナの場合、「コト」や「シテ」や「トキ」や「トモ」など、合字の活字が明治の前半頃まで使用されてゐた。現在は殆ど使用されない。
神代文字(かみよもじ)
日本に漢字が伝来する以前から存在したとされてゐる文字の総称。其の全てが表音文字で、いろは歌や五十音図の置換へで成立してゐる。平田篤胤は、神代文字の存在を確信してゐたが、橋本進吉博士は、上代国語の音韻論に基づいて神代文字の存在を否定した。若し神代文字が実在したと言ふのならば、何故漢字伝来と共に其れ等の文字が使はれなくなつてしまつたのだらうか。
漢字仮名交り文(かんじかなまじりぶん)
日本語の一般的な表記方法のこと。表語文字(表意文字)としての漢字と、表音文字としての仮名を使用して文が構成されてゐる。
漢字制限(かんじせいげん)
一部の漢字の使用だけを認めて、其の他の漢字は使用できないやうにすること。「当用漢字」制定の基本的な態度であり、次第に制限の範囲を狭めて行き、最終的には漢字廃止になる豫定だつた。
「漢字の表」
旧「人名用漢字」。平成16年の法務省令で漢字の数の増加と同時に漢字表の名称も変更された。法務省制定「漢字の表」と呼ぶやうにする。
旧仮名遣(きうかなづかひ)
明治以前に使用されてゐた定家仮名遣などの古い仮名遣の総称。
「旧仮名遣い」
「現代仮名遣い」制定以前に使用されてゐた仮名遣を云ふ。此の用法は却下
「旧字体」
「当用漢字表」や「当用漢字字体表」が制定された事に依つて、使用できなくなつてしまつた印刷字体を云ふ。所謂康煕字典体が之に該当する。反対語は「新字体」。用語としては却下
許容仮名遣(きよようかなづかひ)
正しい訣ではないが、永らく一般的に使用されて来た仮名遣のこと。用ひる(用ゐる)、あるひは(或いは)、どぜう(泥鰌 / どぢやう)、せうゆ(醤油 / しやうゆ)、等が該当する。
金田一京助(きんだいち きやうすけ)[1882 - 1971]
東京帝国大学教授の言語学者。表音主義者の一人。アイヌ叙事詩ユーカラの研究などを通してアイヌ文学を世界に紹介した。国語国字問題では、福田恆存と論争を繰拡げた。主な著作は『国語史 ―系統編―』。
譌字(くわじ)
部分的に通用してゐるが、使用が好ましくないとされる文字のこと。訛つた文字。誤字。
クヮの仮名(くわのかな)
字音仮名遣の内、カ行の特殊な書分け。其の外、「クヱ」や「クヰ」の字音も在るとされるが「クヲ」が在るとは聞かない。国語の仮名遣には此のやうな発音や仮名遣は存在しないが、例外的に「くう」(蹴)の下二段活用動詞に之に近い「くゑ」の表記がある。
訓令式(くんれいしき)
羅馬字表記法の一種。昭和12年内閣訓令で「ローマ字綴表」として制定され、戦後に改定された。昭和12年の制定当初は、日本式を多少改定した形式を採つてゐたが、現在のものは、日本式とヘボン式の双方の要素が一つに纏められた形で採用されてゐる。
形容動詞(けいようどうし)
橋本進吉博士が提唱する品詞の一つ。様態を示す名詞に断定の助動詞「だ」が附いた語のこと。学校文法に継承された。
「教育漢字」
昭和23年内閣告示第1号の「当用漢字別表」で制定された漢字のこと。其の後、「小学校学習指導要領」で学年別配当表に依り数回の改正がなされてゐる。
言語過程説(げんごかていせつ)
時枝誠記博士が提唱した言語観のこと。言語は、対象を認識して表現されると把握し、表現されたものから同等の認識を喚起して対象に辿り着くとする過程其の物の事を云ふと定義されてゐる。
「現代かなづかい」
昭和21年11月16日内閣告示第33号で制定された「かなづかい」のこと。「大体、現代語音にもとづいて、現代語をかなで書あらわす場合の準則を示したもの」らしい。
「現代仮名遣い」
「現代かなづかい」を改正して、昭和61年7月1日内閣告示第1号で制定された「仮名遣い」のこと。「語を現代語の音韻に従つて書き表すことを原則とし」てゐるらしい。併し乍ら、細かい特例が設けられてゐる。
国語改革(こくごかいかく)
国語の表記を能率的で負担の軽いものに改めて変更すること。昭和21年の「当用漢字表」と「現代かなづかい」の制定で現実となつた。
国語国字問題(こくごこくじもんだい)
日本語の表記について、表音表記にしようとする活動が齎した面倒な事件のこと。表音主義者が国語国字を能率的な表記しようとしてゐた。国字問題とも云ふ。
古字(こじ)
古い時代に使はれてゐたとされ、現在は使用されてゐない文字のこと。「金文」「籀文」「大篆」や『説文解字』所載の「古文」を楷書の形に改めたもの。
五十音図(ごじふおんづ)
アカサタナハマヤラワを行に、アイウエオを列或は段に配置して日本語の音韻表を書表したもの。梵字の一覧表を参考にして作られたと言はれる。ワ行イ列の仮名は「ヰ(ゐ)」、ワ行エ列の仮名は「ヱ(ゑ)」が這入るのが正しい五十音図である。
小林英夫(こばやし ひでを)[1903 - 1978]
京城帝国大学教授の言語学者。表音主義者の一人。ソシュールの一般言語学講義を日本語に訳した。主な著書として表音的表記で自論を展開した『言語学通論』が在る。

さ行

詞(し)
コトバとも呼ぶ。日本語の語の内「名詞」や「動詞」や「形容詞」など、客観的な概念を指し示す為の言葉。
辞(じ)
テニヲハとも呼ぶ。日本語の語の内「助詞」や「助動詞」など、表現主体の立場を表す事で文を構成する言葉。
字音仮名遣(じおんかなづかひ)
漢字の字音を仮名で表記する場合の仮名遣のこと。本居宣長が『字音假字用格』で詳しく研究してをり、大まかには「呉音」「漢音」「唐音」に分類される。
字形(じけい)
漢字の具体的な形のこと。字体や書体の違ひ等、漢字一文字一文字の実際の形を云ふ。漢字の部位の一点一画に附いて拘るやうな場合には、字体では無く此方の語を使ふべきである。
字体(じたい)
漢字の決つた形のこと。書体の違ひに依り多少の字形差が出る事もあるが、或る程度の誤差は許容されるとされる。「正字」「異体字」「俗字」「略字」「同字」「古字」「本字」「譌字」等に類別され、更に別の観点から「新字体」と「旧字体」に分類される。
上代特殊仮名遣(じやうだいとくしゆかなづかひ)
奈良時代の頃に実際に書分けられてゐた仮名の文字遣のこと。「きひみけへめこそとのよろ」等、一部の仮名に甲乙の区別がある。濁音と清音も区別される。『日本紀』や『万葉集』では八十七の仮名の書分けがなされてゐるが、『古事記』では更に「も」の甲乙が加はり、八十八の仮名の書分けが為されてゐる。本居宣長が「假字の事(古事記傳一之卷)」で其の存在を示唆し、石塚竜麿が其の事実を発見し、橋本進吉博士が当時の発音で書分けられてゐた事を証明した。
「常用漢字」
「当用漢字」を改正して、昭和56年10月1日内閣告示第1号の「常用漢字表」で制定された1945字の漢字のこと。「現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すもの」らしい。「当用漢字」とは違ひ制限色は薄められたと言はれる。
書体(しよたい)
漢字の書き方の種類のこと。大きくは印刷用の書体と、手書き用の書体とに分かれる。印刷用の書体は、漢字の構成要素を明確にする意味から複雑になる傾向があるが、手書き用の書体は、書表す時の筆運び等の影響で、接続されたり省略されたりする傾向が見られる。「明朝体」「ゴシック体」「教科書体」、「甲骨文字」「金文」「篆書」「隷書」「楷書」「行書」「草書」等に分類される。
「新字体」
「当用漢字表」や「当用漢字字体表」で新たに制定されたはうの漢字の字体をかう呼ぶ。異体字が多く採用された。反対語は「旧字体」。通常此の字体に関しては略字と呼ぶ。
「人名用漢字」
昭和26年内閣告示1号の「人名用漢字別表」で制定された漢字のこと。其の後、数回の改定がなされてをり、現在は多数の正字体の漢字も収録されてある。平成16年の改正で「漢字の表」と云ふ名称に変更された。
正仮名遣(せいかなづかひ)
きちんと整つてゐる理想的な仮名遣のこと。歴史的仮名遣と字音仮名遣に対して「きちんと整つてゐる」の意味を附加する意図でかう呼ぶ。略して正かな。
正字(せいじ)
きちんと整つてゐる理想的な漢字のこと。『説文解字』の見出し字や、『干禄字書』で正体とされる文字や、小篆を明朝体に適用した『康煕字典』の見出し文字などに示される系統の漢字を正字と呼ぶ。反対語は異体字。
正字正かな(せいじせいかな)
正字正仮名遣を略してかう呼ぶ。きちんと整つた漢字と仮名遣。
正字体(せいじたい)
きちんと整へられた漢字の字体。所謂康煕字典体に対して「きちんと整つてゐる」の意味を附加する意図でかう呼ぶ。
政府が制定した正しい漢字の字体。原則的にこの字体以外の使用は禁じられる事になる。
俗字(ぞくじ)
異体字の一種。世間的に広く使用されてゐる漢字のこと。『干禄字書』に収録された俗体であり、伝統的な楷書の字体が元になつてゐる場合が多い。
則天文字(そくてんもじ)
唐の女帝、則天武后が新たに制定した漢字のこと。現在十七の文字が確認されてゐる。則天武后の失脚と共に廃止されたが、何故かJISコードの漢字に国の則天文字「圀」が定義されてゐる。武周新字とも呼ばれる。

た行

「当用漢字」
昭和21年11月16日内閣告示第32号の「当用漢字表」で制定された1850字の漢字のこと。「漢字の制限があまり無理がなく行われることをめやすとして選んだ」らしい。昭和24年には「当用漢字字体表」に依つて漢字の字体が制定された。
定家仮名遣(ていかかなづかひ)
藤原定家が提唱し、行阿が確立した仮名遣のこと。「お」と「を」との書分けが当時のアクセントに依拠してゐる為、仮名遣としては正確性に缺ける。
朝鮮漢字音(てうせんかんじおん)
朝鮮語で使用される漢字の字音のこと。裴勇俊をペ・ヨン・ジュン、平壌をピョン・ヤンと読むやうな字音を云ふが、日本語ではカタカナで表記される。
伝統的な楷書(でんとうてきなかいしよ)
古くから書かれ続けられて来た楷書の書体のこと。「常用漢字」全盛の現在では既に書かれなくなつて久しい字体もある。古い神社等に立つ石碑等の碑文に、此の書体が刻み込まれてゐる事がある。
同字(どうじ)
正字と同じ字とされる異体字のこと。構成要素の位置が入替つた文字等がかう呼ばれる。「別体字」とも云ふ。
時枝文法(ときえだぶんぱふ)
時枝誠記博士が提唱した文法のこと。語を「詞」と「辞」に分けて分類する伝統的な日本の文法論を継承した文法。形容動詞は認めない。
時枝誠記(ときえだ もとき)[1900 - 1967]
京城帝国大学及び東京大学教授の国語学者。詞と辞に基づく言語過程説を提唱してソシュール言語学に対する批判を展開した。 主な著書は『國語學原論』。

な行

名乗り(なのり)
日本人の氏名に使用される漢字の読み方。通常の読み方以外に多数の名乗り専用の読み方が存在する漢字もある。「人名用漢字」の場合、制定以来一貫して漢字の読み方は明記されてゐない。
日本式(につぽんしき)
羅馬字表記の一種。五十音図に基づいて、仮名と一対一で書ける羅馬字表記を目指してゐる。仮名表記との対応が取れてゐるから、日本人には理解し易い部分もあるが、表音的な表記とは呼べないやうな部分もある。学校教育で採用されてゐたが、現状は不詳。

は行

包摂(はうせつ)
文字集合(キャラクターセット)を定義する際、幾つか存在する字形に同じコード番号を附与する事で、複数の字形を同一の領域に取入れて包み込むこと。少くとも文字コードが規定された当時は此のやうな概念は用ゐられてゐなかつたのだから、文字の種類に依つては辻褄が合はない場合も出て来てゐるやうに思はれる。
ハ行転呼音(はぎやうてんこおん)
語中語尾のハ行の仮名や、助詞の「は」や「へ」等、仮名遣で「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」と書かれた部分を「ワ」「イ」「ウ」「エ」「オ」のやうに発音する事。
橋本進吉(はしもと しんきち)[1882 - 1945]
東京帝国大学教授の国語学者。上代特殊仮名遣を再発見して、国語学に対する位置附けを明確にした。神代文字は偽作であると上代特殊仮名遣の見地から喝破した。切支丹文献の研究も一定の成果を挙げてゐる。昭和17年に国語審議会が答申した「新字音假名遣表」や昭和6年の「假名遣改定案」に対する反駁として「表音的假名遣は假名遣にあらず」と云ふ批判文を残してゐる。主な著書は『古代國語の音韻に就いて』。
橋本文法(はしもとぶんぱふ)
橋本進吉博士が提唱した文法のこと。文を文節の単位に分けて、各文節がどのやうに他の文節に係るのかを考へる文法。形容動詞を認める。現在の学校文法に継承された。
撥音表記の「ん」(はつおんへうきのン)
撥音便の表記として使用される仮名のこと。いろは歌からも五十音図からも外されてゐるのはどう云ふ理由か。
半角カタカナ(はんかくカタカナ)
"JIS X 0201"の規定に依り、1バイトの文字符号化形式で採用されたカタカナのこと。"ISO-2022-JP"では使用不可の為、情報交換用の文字コードとしては不適切とされる。略して半角カナと呼ぶ。
ひらがな
いろは歌に示された四十七文字と撥音表記の「ん」を云ふ。漢字仮名交り文の国語表記を行ふ時に使用される。漢字では平仮名と書く。
ファ行の仮名(ファぎやうのかな)
子音表記"f"で出て来る外来語をカタカナで書き写す際に使用される仮名のこと。江戸時代の前半ぐらゐ迄は、ハ行の発音が此の仮名で示されるやうに発音されてゐたと云ふ。
復古仮名遣(ふくこかなづかひ)
契沖の発見に基づいて本居宣長が提唱し、門徒の国学者が研究した仮名遣のこと。実証主義に依り、過去の文献での仮名の使用状況を元に、仮名遣を決定する。歴史的仮名遣の基礎となる仮名遣。
福田恆存(ふくだ つねあり)[1912 - 1994]
保守派の評論家で劇作家で翻訳家。鋭い批判で知られる評論家で、殆どの著作で正字正かな表記を実践してゐた。金田一京助との国語国字問題に対する論争は大きな波紋を呼んだ。主な著作は『私の國語教室』。
藤原定家(ふぢはらのていか)[1162 - 1241]
平安時代の歌人。「小倉百人一首」を撰した。世間の乱れた仮名の用法を正す目的で仮名遣を創めて提唱し、いろは歌に示された四十七文字の仮名を語に依つて使分ける事を考案した。之を現在は定家仮名遣と呼ぶ。
表音主義(へうおんしゆぎ)
国語表記を発音に基づいて表記する事をよしとする思想の立場。羅馬字派とカナモジ派との二大派閥がある。
表音的な表記(へうおんてきなへうき)
言語の発音を表記に反映させること。カナモジ使用ならば、表音的な振り仮名や辞書の見出し語等の使用にのみ限定するのが理想的だと思はれる。
表音文字(へうおんもじ)
仮名や英字やキリル文字や梵字や諺文など、決つた順番で文字が組合されて語を表記する文字のこと。一文字一文字に代表とされる発音が定義されてゐる。
表語文字(へうごもじ)
漢字やヒエログリフのやうに一文字で語を表せる文字の事を云ふ。表意文字とも云ふが、意味其のものを表す文字ではない。
ヘボン式(ヘボンしき)
羅馬字表記の一種。日本語の子音に英語的な表記を採用し、母音には伊太利語的な表記を採用した。英語圏の人間が読んでも発音が可能な工夫がなされてゐるらしい。一般には旅券の記名や駅名標や道路標識に使用されてゐる。
変体仮名(へんたいがな)
明治33年8月21日制定の「小學校令施行規則第一號表」から除外された、ひらがなやカタカナのこと。制定直後に一般の活字から除外され、現在では全くと言つてよい程に使はれない。
棒引仮名遣(ぼうびきかなづかひ)
明治33年8月21日制定の「小學校令施行規則第二號表」で規定された表音的な字音仮名遣のこと。長音符号の表記に「ー」を使用するが、和語の仮名遣は改定しなかつた。学校教育に混乱が生じて批判が相次いだ結果、明治41年9月7日に廃止されてしまつた。
保科孝一(ほしな かういち)[1872 - 1955]
国語表記の表音化を行政の面から推進した表音主義者の代表的な人物。主な著作は『国語問題五十年』。
本字(ほんじ)
『康煕字典』に採用された字体の一種。一部の俗字を正字に採用してゐる辞書の場合、元々『康煕字典』のはうで正字とされた文字をかう呼ぶ。

ま行

万葉仮名(まんえふがな)
記紀万葉で使用されてゐた漢字の表音的な用法を云ふ。字音で音を写した音仮名、漢字を字訓で利用た義訓、漢字の字訓で音を写した借訓、漢語の意味から求められる和語で音を写した戯訓などがある。
明朝体(みんてうたい)
漢字の活字書体の一つ。一般的な印刷物の活字はほぼ此の書体が使用されてゐる。『康煕字典』の見出し文字に使用されてゐる外、「常用漢字表」と「表外漢字字体表」と法務省制定「漢字の表」の活字にも使用されてゐる。事実上、印刷活字の標準となつてゐる。
文字コード(もじコード)
電子計算機に対して文字を電子的に記憶させる為のコード番号を云ふ。文字集合(キャラクターセット)は、多くの文字を一定の方法で区別して其の集合体の中の一文字一文字に対してコード番号を割当てたもの。文字符号化方式(キャラクタエンコーディング)は、割振られたコード番号を元に、実際の電子符号に置換へて電子媒体のデータとして活用する方法を云ふ
本居宣長(もとをり のりなが)[1730 - 1801]
江戸時代の国学者。紀伊国松阪に出生。『古事記伝』や『詞の玉緒』を著す。『古事記』の文献検討に基づき、復古仮名遣を提唱する。其の外多くの実績を残してゐる。
森鴎外(もり おうがい)[1862 - 1922]
明治の文豪で陸軍軍医。本名は林太郎。多数の文学作品を執筆した。「假名遣意見」は、氏が臨時仮名遣調査委員会の席で、小学校令施行規則で制定された棒引仮名遣を批判した時の記録である。代表的な著作は『舞姫』。

や行

ヤ行のえ
いろは歌では区別されてゐないが、平安時代前期頃迄は書分けられてゐた仮名の一部のこと。『古言衣延辨』で其の存在が証明された。本来の仮名遣でもア行のえとは区別はされない事になつてゐる。少くとも弘法大師(空海)が生きてゐた頃は此の仮名の発音が存在してゐたと見られる。
山田孝雄(やまだ よしを)[1873 - 1958]
東北大学教授の国語学者。国粋主義的言語観があるとされる事もあるが、国語に対する考へ方には得るものが大きい。昭和6年に臨時国語調査会が発表した「假名遣改定案」に対して、「文部省の假名遣改定案を論ず」にて痛烈な批判を展開した。主な著書は、『平安朝文法史』。
四つ仮名(よつがな)
「じ」「ぢ」と「ず」「づ」の仮名を云ふ。以前は四つの仮名夫々が別々の発音で読まれてゐたが、現在は「じ」と「ぢ」が混同し、又、「ず」と「づ」が混同してゐる。語に依つては連濁の現象を利用してどちらの仮名を遣ふべきか知る事が出来る場合もある。

ら行

略字(りやくじ)
異体字の一種。漢字の構成要素の一部を省略して書いた字体の事。
歴史的仮名遣(れきしてきかなづかひ)
明治の文明開化から、昭和21年の「現代かなづかひ」制定迄の間に、世間一般に使用されてゐた仮名遣のこと。復古仮名遣を基礎に据ゑ、現代口語に使用できるやうに改善されてゐる。高々60年程度前の仮名遣が読めない日本人が多い現状は嘆かはしい。
連声(れんじやう)
複数の漢字で構成された漢語の場合、後の漢字の始めの音がナ行やマ行の音に変化すること。観音を「かんのん」、元和を「げんな」、三位を「さんみ」、親王を「しんなう」、宣和を「せんな」、天皇を「てんなう」と読む類。
連濁(れんだく)
語と語とが接続された複合語など、後の語の始めの音が清音から濁音に変化すること。「くさ」と「はな」の複合語が「くさばな」になるやうなもの。漢語でも「暗算」「行司」「高山」「忍者」等、色々在る。
連綿(れんめん)
仮名や漢字を二文字以上続けて表記すること。欧文の筆記書体のやうなもの。
羅馬字(ローマじ)
英文字、アルファベットのこと。羅馬字派は、日本語の表記を羅馬字表記に変へようとしてゐた。現在における羅馬字の活用範囲は、旅券の記名や駅名標や道路標識に使用される「ヘボン式羅馬字」と、電子計算機の入力で使用される「羅馬字入力かな漢字変換」程度である。

わ行

ワ行のゐ
ゐる(居)、用ゐる、率ゐる等の語を書く時に使用される仮名。「現代仮名遣い」では事実上使用されない。
ワ行のゑ
植ゑる、飢ゑる、据ゑる等の語を書く時に使用される仮名。「現代仮名遣い」では事実上使用されない。
ワ行のを
助詞の「を」や、をる(居)等の語を書く時に使用される仮名。「現代仮名遣い」では、助詞の「を」にしか使用できない。

英文字

ASCII
1バイト7ビットで構成される文字符号化方式。最も基本となる文字コードで、英数字や其の周辺の記号類のみが扱へる。アスキーと読む。
EUC-JP
"JIS X 0208"を元にした2バイトの文字符号化方式。1バイトの内8ビットをフルに使用するが、エスケープシーケンスを使用しないのが特徴。UNIXで多用される文字コード。
ISO-2022-JP
"JIS X 0208"を元にした2バイトの文字符号化方式。1バイトの内7ビットを使用する。電子メールの文字コードとして一般に使用されてゐる。
JIS X 0201
1バイト8ビットで構成される文字符号化方式。先頭ビットが"0"の部分に羅馬字(ASCII)を配置し、先頭ビットが"1"の部分に半角カタカナを配置した。"ISO-2022-JP"の規定では半角カタカナの領域が削られてゐる為、インターネットでの半角カタカナの利用は薦められない。
JIS X 0208
区点で構成される2バイトの文字集合。第1水準と第2水準で合計6879字の漢字を収録してゐるが、理論上では1区1点から94区94点までの領域で8836個のグリフを指定できる。1983年の改定で、例示字体の変更や二つの例示字体の入替へなどを行つた為、混乱した状態が続いてゐる。
JIS X 0213
面区点で構成される2バイトの文字集合。第1面に非漢字と第1水準から第3水準までの漢字とを収録し、第2面に第4水準の漢字を収録してゐる。2004年の改定で「常用漢字」と法務省制定の「漢字の表」と「表外漢字字体表」に示された字体に準拠した例示字体に変更された。
JIS X 4063
2000年に制定された「仮名漢字変換システムのための英字キー入力から仮名への変換方式」のこと。電子計算機のキーボードにある英字キーを鍵打する事で画面に仮名を表示させる為の対応表を規定してゐる。羅馬字入力かな漢字変換に活用される。
Shift_JIS
"JIS X 0208"を元にする2バイトの文字符号化方式。1バイトの内8ビットをフルに使用する。"JIS X 0201"をベースにして、其の空き領域に"JIS X 0208"で規定する2バイトの漢字を詰込んだ形式を採る。マイクロソフトが電子計算機の内部処理用に利用してゐる。
安岡さんの情報に依ると「マイクロソフトウェア・アソシエイツと三菱電機が開発した『日本語CP/M-86』で採用された文字符号化方式がShift_JISの始り」との事。
Unicode
4バイトの文字集合。世界の文字を全て収録すると云ふ理念の元に、様々な言語の文字を同じコード領域に集結させてゐる。其の中でも漢字が最も広大な領域空間を占めてゐる。HTMLで使用できる文字の範囲はUnicodeのコード番号で細かく規定されてゐる。ユニコードと読む。
UTF-8
Unicodeを元にした可変バイト長の文字符号化方式。ASCIIの領域は1バイトで利用できるが、漢字の領域ではなんと一文字辺り3バイトが消費されるやうになつてゐる。併し乍ら、様々な種類の言語の文字を同一のコード領域で使用できる利点がある。

参考資料

関聯頁

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